
親やきょうだい、配偶者が、最近SNSで知り合った人と頻繁にやり取りをしている。投資で増えたと話していたのに、急にお金を貸してほしいと言ってきた。家族が投資詐欺に遭っているかもしれないと気づいたとき、どう声をかければよいのか迷う方は少なくありません。
心配なあまり強く問い詰めると、本人が心を閉ざしてしまうことがあります。本人を責めず、まず話を聞き、分かっていることと分からないことを一緒に整理することが、次の一歩につながります。
この記事では、家族が投資詐欺に遭っているかもしれないときに、気づくきっかけ、本人に話す前の整理、本人への伝え方、一緒に確認すること、残しておく記録をまとめます。
DataProは、暗号資産(仮想通貨)や投資サイトのトラブルに限らず、SNS投資詐欺やロマンス詐欺、副業詐欺など、オンライン上の詐欺被害全般のご相談を受け付けています。ご本人と一緒に状況を整理したい段階から、ご相談いただけます。
家族の投資詐欺に気づくきっかけ

家族が投資詐欺に巻き込まれているかもしれないと気づくきっかけには、次のようなものがあります。どれか1つに当てはまるだけで決めつける必要はありませんが、話を聞くきっかけになります。
| 気づくきっかけ | 公的機関が示している特徴 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| お金を貸してほしいと頼まれた | 出金するための税金や手数料として、先に支払いを求められる事例がある | 何のためのお金か、誰に払うのか |
| SNSで知り合った人の話をよくする | SNSのメッセージで接触を始め、LINEなどに誘導する手口がある | いつ、どこで知り合った相手か |
| 投資の利益が増えていると話す | しばらくは利益が出たように装う事例がある | 実際に出金できたことがあるか |
| 振込を何度も繰り返している | 詐欺と気づくまで何度も振り込んでしまうことがある | 振込先が個人名義や毎回違う口座になっていないか |
国民生活センターが紹介している相談事例には、著名人が主催するという投資グループの広告から暗号資産の投資を始め、出金しようとしたところ税金などの名目で追加の入金を求められ、家族に借り入れを頼んだところ、家族に詐欺だと言われたというものがあります。
家族がお金の相談を受けたことが、気づくきっかけになることがあります。
ほかにも、急に投資の話をするようになった、スマートフォンを手放さずに誰かとやり取りを続けている、生活費や貯金の話を避けるようになった、といった様子の変化に家族が気づくこともあります。
こうした変化は投資詐欺以外の理由でも起こるため、それだけで判断せず、話を聞くきっかけとして受け止めてください。
本人に話す前に、分かっていることを整理する
本人に話しかける前に、自分が知っていることを書き出しておきましょう。推測と、実際に見聞きしたことを分けておくことが大切です。ほかの家族にも話を聞く場合は、本人を責める話にならないよう気をつけましょう。
- 本人から直接聞いたこと(投資の内容、相手の名前、金額など)。
- 自分が見たこと(お金を頼まれた、振込の話をしていた、など)。
- 推測していること(詐欺ではないか、など)。
- まだ分からないこと(いくら払ったのか、いつからか、など)。
- ほかの家族が知っていること(同じようにお金を頼まれていないか、など)。
推測を事実のように伝えると、本人が反発して話が進まなくなることがあります。書き出した内容のうち、本人に確かめたいことを2つか3つに絞っておくと、話しやすくなります。
たとえば「相手とはどこで知り合ったのか」「これまでに出金できたことはあるか」など、本人が答えやすい質問から始めるとよいでしょう。
詐欺被害かもしれないときの状況の整理の仕方は、詐欺被害に遭ったかもしれないときに確認することにまとめています。
本人への伝え方で大切にしたいこと
本人は、相手を信じていたり、損をしたことを知られたくなかったりして、話したがらないことがあります。責めない、否定から入らない、決めつけない、急がせない、の4つを心がけてください。
本人の携帯電話を黙って見たり、取り上げたりすることは、信頼を損ない、かえって本人が相談しにくくなるおそれがあります。やり取りの内容を確かめたいときは、本人に見せてもらえるかを尋ね、本人の同意を得てから一緒に確認しましょう。
話すタイミングにも気を配りましょう。ほかの家族が大勢いる場や、本人が相手とやり取りしている最中よりも、落ち着いて話せる時間に、1対1で声をかけるほうが、本人も話しやすくなります。一度で話がまとまらなくても、何度かに分けて話を聞くつもりで構いません。
言い方の例を、次のように置き換えてみてください。
| 避けたい言い方 | 代わりの言い方の例 |
|---|---|
| 「なんでそんなことしたの」 | 「心配だから、どんな話か聞かせてくれる?」 |
| 「絶対に詐欺だよ」 | 「念のため、一緒に確かめてみない?」 |
| 「もう連絡を取るのはやめて」 | 「やり取りの画面、一緒に見てもいい?」 |
| 「いくら払ったの、全部見せて」 | 「話せる範囲で教えてくれたら助かる」 |
目的は本人を説得することではなく、本人が自分で状況を確かめられるように手伝うことです。
本人と一緒に確認すること
本人が話を聞かせてくれたら、次の点を一緒に確かめてみてください。
- 取引しているサイトやアプリの業者が、金融庁の登録を受けているか。
- お金を振り込んだ先が、個人名義の口座や、振り込むたびに違う口座になっていないか。
- 出金しようとしたときに、税金や手数料などを先に払うよう言われていないか。
- 相手と知り合ったきっかけが、SNSの広告やメッセージ、マッチングアプリではないか。
- 「今払わないと損をする」などと、支払いを急がされていないか。
- 誰にも話さないよう、相手から口止めされていないか。
警察庁は、紹介された業者が金融商品取引業者などに登録されているかを確認するよう呼びかけ、個人名義の口座や、振込のたびに異なる口座を指定されるケースに注意を促しています。出金のために税金や手数料を求められている場合の確認点は、出金に税金や保証金を求められたときに確認することで整理しています。
確かめた結果、本人が「やはりおかしい」と感じたときは、追加の支払いを止めることを一緒に決めましょう。本人が納得できないときも、その場で結論を出す必要はありません。確かめた内容をメモに残しておくだけでも、次に話すときの手がかりになります。
確認の結果をどう受け止めるかは、本人が決められるようにしましょう。
本人から聞いた話をどう整理すればよいか分からないときも、一緒に確認できます。

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お金を貸してほしいと頼まれたとき
家族に、出金のための費用や追加の投資資金として、お金を貸してほしいと頼まれることがあります。貸す前に、何のためのお金で、誰に、どこへ払うのかを本人と一緒に確かめてください。
| 頼まれた名目 | 一緒に確かめたいこと |
|---|---|
| 出金のための税金・手数料 | 出金のために先に払うよう求めているのは誰か、支払先はどこか |
| 追加の投資資金 | これまでに実際に出金できたことがあるか、取引先の業者は登録を受けているか |
| 借入のための保証や名義 | 誰から、何のために借りるよう言われているのか |
国民生活センターは、業者に指示されるまま複数の貸金業者から次々に借り入れて支払うケースが目立つとし、業者から「すぐに返済できる」と言われて借り入れた場合でも、返済の義務は借り入れをした本人が負うと注意を呼びかけています。「副業や投資の説明のために必要」などと言われて、遠隔操作アプリを入れさせられたり、画面を共有させられたりすることもあるとしています。
お金を貸すかどうかで本人と言い争いになると、本人が家族に隠れて借り入れをしてしまうこともあります。「貸すかどうかは、一緒に確かめてから決めたい」と伝え、支払先や名目を確かめる時間をつくることを優先しましょう。家族の口座や身分証を使わせてほしいと頼まれた場合も、同じように、誰に何のために使うのかを確かめてください。
出金するための税金や手数料を先に払うよう求められている場合は、家族がそのお金を用意する前に、一度立ち止まってください。
本人の同意を得て残しておく記録

本人の同意を得たうえで、次の6点を残しておきましょう。本人が自分で保存できるよう、手伝う形が望ましいです。
- 相手とのやり取りの画面。
- 取引しているサイトやアプリの画面。
- 振込明細や送金の記録。
- 出金を断られた画面や請求の画面。
- 相手と知り合ったきっかけの画面。
- 日付ごとの出来事のメモ。
相手のアカウントやサイトは、あとから消えることがあります。本人がやり取りを消したり、相手をブロックしたりする前に、画面を保存しておくよう伝えてください。記録の残し方の詳しい手順は、詐欺の証拠の残し方にまとめています。
記録は、本人のスマートフォンの中だけでなく、本人の了解を得て別の場所にも控えを残しておくと、端末の故障や、相手に指示されてアプリを消してしまった場合にも失われにくくなります。家族が保管する場合も、本人に何を保管しているかを伝えておきましょう。
本人の同意を得て保存したやり取りや振込の記録がそろっていれば、そのままお送りいただけます。




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「取り戻せる」という連絡にも注意する
被害に気づいたあと、本人や家族のもとに「お金を取り戻せる」「返金手続きを代行する」といった連絡が来ることがあります。消費者庁は、被害回復を持ちかけて金銭を要求する二次被害の相談が見られると注意を呼びかけています。
家族が本人を助けたい一心で、こうした連絡に応じてしまうこともあります。連絡が本人ではなく家族に直接来ることもあるため、家族の間で、こうした連絡があったら支払う前に共有することを決めておくと安心です。先に費用を求められたら、支払う前に、誰が、何の名目で、どこへの支払いを求めているのかを確かめてください。返金をうたう連絡への注意点は、返金をうたう業者から連絡が来たときの注意点で整理しています。
家族だけで抱え込まない
家族だけで状況を確かめようとすると、本人との関係が難しくなることがあります。消費者庁は、国民生活センターが発信する「見守り新鮮情報」について、家族や近所の人などが高齢者の様子を見守る際の手がかりや、本人への注意喚起に活用できると案内しています。本人と一緒に公的機関の注意喚起や、利用しているサービスの公式情報を確認する方法もあります。
すでにお金を振り込んでいる場合は、預金保険機構が案内しているとおり、振込先の金融機関や警察に連絡し、振り込んだ口座の取引の停止を依頼することを検討してください。本人が相談をためらうときは、家族が付き添う形で相談するのも1つの方法です。相談するかどうかも、できるだけ本人と一緒に決めましょう。
相談するときは、次のことを伝えられるように準備しておくと、話が進みやすくなります。
- 本人が相手と知り合ったきっかけと時期。
- これまでに払った金額と、払った方法。
- 出金できたことがあるか、断られたことがあるか。
- 家族が気づいたきっかけと、本人から聞いた内容。
DataProに相談できること・できないこと
DataProは、調査・分析・資金追跡を行う立場から、次の内容をお手伝いできます。
- 本人と家族から聞いた経緯の整理。
- 取引しているサイトやアプリの表示内容の確認。
- 暗号資産で送金している場合の、送金記録をもとにした資金の移動の確認。
- 警察や弁護士へ相談するときに必要な記録の整理。
一方で、法律相談、相手への返金請求や代理交渉、捜査、相手の身元を断定することは行いません。資金の回収や口座の凍結をお約束することもできません。確認できる範囲とできない範囲は、ご相談の最初にご説明します。
家族の投資詐欺についてよくある質問
家族が投資詐欺に遭っているかもしれません。まず何をすればいいですか。
本人に話しかける前に、自分が見聞きしたことと推測していることを分けて書き出してください。そのうえで、責めずに話を聞き、取引している業者の登録や振込先を一緒に確かめましょう。
本人が「詐欺ではない」と言い張ります。
頭ごなしに否定すると、話が進まなくなることがあります。「一緒に確かめてみよう」と提案し、業者の登録や、出金のときに支払いを求められていないかなど、確かめられる点から一緒に見ていきましょう。
親が投資詐欺に遭っていて、止めたいです。
説得しようとするより、話を聞き、本人が自分で状況を確かめられるように手伝うことが大切です。追加の支払いを求められている場合は、支払う前に立ち止まることを一緒に決めましょう。
本人の携帯電話を見て確かめてもいいですか。
黙って見たり取り上げたりすると、信頼を損ない、本人が相談しにくくなるおそれがあります。見せてもらえるかを本人に尋ね、同意を得てから一緒に確認してください。
お金を貸してほしいと頼まれました。
貸す前に、何のためのお金で、誰に、どこへ払うのかを本人と一緒に確かめてください。出金のための税金や手数料を先に払うよう求められている場合は、支払う前に立ち止まりましょう。
本人に内緒で、家族だけで対応してもいいですか。
記録の多くは本人の手元にあり、本人の同意がなければ確かめられないことが多くあります。家族だけで進めるより、本人の同意を得て、一緒に整理を進めることをおすすめします。
まとめ
家族が投資詐欺に遭っているかもしれないときは、本人を責めずに話を聞き、分かっていることを一緒に確かめることが大切です。
- 推測と事実を分けて、本人に話す前に整理する。
- 責めない・否定から入らない・決めつけない・急がせない。
- 携帯電話を黙って見たり取り上げたりせず、本人の同意を得て一緒に確認する。
- 出金のための税金や手数料を家族が用意する前に、立ち止まる。
- 「取り戻せる」という連絡にも注意する。
本人が話してくれた内容と、手元に残っている記録から、一緒に整理を始めてください。すぐに結論が出なくても、話を聞き続けること自体が、本人を支える力になります。
ご本人と一緒に、確認できる範囲を知りたい方はご相談ください。




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