
やり取りしていた相手が詐欺だと気づいたとき、すぐにブロックしてしまいたい、あるいは「お金を返して」と強く言い返したい、と感じるのは自然なことです。一方で、相手から次々に届くメッセージに、どう対応すればよいのか分からなくなる方もいます。どちらの気持ちも、ごく自然な反応です。
詐欺だと気づいた直後にいちばん大切なのは、ブロックや削除をする前に、やり取りの記録を残すことです。相手をブロックしたり、アカウントが消されたりすると、あとから経緯を確かめられなくなることがあります。
この記事では、詐欺の相手をブロックしていいのか、返信を続けるべきかの判断の目安と、返信するなら避けたいこと、ブロックしてよいタイミングを整理します。記録の残し方の細かな手順は別の記事にゆずり、ここでは相手への連絡の判断に絞ってまとめています。
DataProは、暗号資産(仮想通貨)や投資サイトのトラブルに限らず、SNS投資詐欺やロマンス詐欺、副業詐欺など、オンライン上の詐欺被害全般のご相談を受け付けています。相手にどう対応するか迷っている段階から、ご相談いただけます。
ブロックや削除の前に、まず記録を残す
相手をブロックしたり、やり取りを削除したりする前に、次の順番で記録を残してください。
- 相手のアカウント名とプロフィールの画面を保存する。
- お金の話が出たやり取りと、支払いを求められたやり取りを保存する。
- 取引しているサイトやアプリのURLと画面を保存する。
- 振込明細や送金履歴を保存する。
日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)は、暗号資産の被害に遭った人へ向けた案内の中で、相手から連絡が続く場合は、返信や交渉をせず、記録を残すよう説明しています。警察庁も、偽サイトなどの被害に遭ったら、サイトの情報(URLや画面)、口座情報や振込記録などの取引情報、やり取りの内容を保存するよう案内しています。
記録の残し方の詳しい手順は、詐欺の証拠の残し方にまとめています。気づいた直後にやることの全体の順番は、詐欺に気づいた直後にやることで整理しています。
保存するときに気をつけたいこと
画面を保存するときは、日付や時刻、相手の表示名が一緒に写るようにしてください。やり取りが長い場合は、最初に知り合った場面、お金の話が出た場面、支払いを求められた場面を優先して残します。保存した画像は、スマートフォンの中だけでなく、別の場所にも控えを残しておくと、端末の故障や買い替えのときにも失われにくくなります。
相手をブロックすると、相手のプロフィールや過去のメッセージが見られなくなる場合があります。ブロックは、記録を残し終えてからにしましょう。
相手にどう対応するか迷っているときも、手元のやり取りをもとに一緒に整理できます。

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ブロック・返信・そのままにする、の判断の目安

相手への対応に「これが正解」という1つの答えはありませんが、順番を間違えないことが大切です。
相手への対応には、大きく分けて3つの選択肢があります。それぞれに起きうることと、判断の目安を整理すると次のようになります。
| 選択 | 起きうること | 判断の目安 |
|---|---|---|
| すぐにブロックする | 相手のプロフィールや過去のやり取りが見られなくなる場合がある | 記録を残し終えるまでは待つ |
| 返信を続ける | 新しい名目の支払いを求められたり、個人情報を聞き出されたりすることがある | 支払い・個人情報・交渉につながる返信はしない |
| そのままにする(返信しない) | 相手から連絡が続くことがある | 届いたメッセージは読んで保存し、応じない |
多くの場合、記録を残し終えるまでは「返信しないで、そのままにする」を選び、記録を残してからブロックするかどうかを考える、という順番が落ち着いて対応しやすい方法です。
一度選んだ対応を、あとから変えても構いません。返信を続けていた人が途中でやめることも、そのままにしていた人が記録を残し終えてからブロックすることもできます。大切なのは、どの選択をする前にも、その時点までのやり取りを保存しておくことです。
返信をやめると、相手から「なぜ返事をくれないのか」「このままでは困ったことになる」といったメッセージが続くことがあります。こうしたメッセージも、相手の言い分を知る記録になります。読んで保存しておき、支払いや個人情報の送付には応じないでください。
返信しないことは、相手に負けたことではありません。自分を守るために、やり取りを止めるという判断です。
返信するなら、避けたいこと
どうしても返信が必要な場面があっても、次のような内容は避けてください。どれも、相手に新しい口実を与えたり、記録を消されるきっかけになったりするおそれがあります。
- 相手を責めたり、脅したりする返信。
- 「お金を返して」という返金の交渉(新しい支払いを求める口実にされることがある)。
- 住所・勤務先・家族のことなど、個人情報を伝える返信。
- 「支払えば出金できるなら払う」など、追加の支払いを約束する返信。
- 本人確認書類や口座情報の送付。
- 相手から送られてきたリンクを開いて、ログイン情報などを入力すること。
返信したくなったときは、次のように置き換えて考えてみてください。
| 返信したくなること | 代わりにすること |
|---|---|
| 相手を問い詰める・責める | そのやり取りを保存し、返信はしない |
| 「お金を返して」と交渉する | 送金の記録をそろえ、送金の方法に応じた先に伝える準備をする |
| 「警察に言う」と伝える | 伝えずに、記録を残して相談の準備を進める |
| 支払えば出金できるか確かめる | 支払わず、求められた名目と金額を記録する |
相手へ何かを伝える前に、今確認できるアカウント情報やメッセージを保存しておきましょう。相談するかどうかを相手に知らせる必要はありません。
国民生活センターは、副業のトラブルに関する注意喚起の中で、相手から住所や氏名、銀行口座、免許証などの個人情報を求められることがあり、悪用される可能性が否定できないとしています。お金を稼ぐはずが振り込みを求められても、言われたとおりに振り込まず相談するよう呼びかけています。
すでに個人情報を伝えてしまった場合も、慌てる必要はありません。何を、いつ、どのアカウントに伝えたのかを書き出しておくと、相談するときに状況を説明しやすくなります。本人確認書類の画像を送ってしまった場合は、送った画像と日時も記録しておきましょう。
詐欺だと気づいたあとに届きやすい連絡
詐欺だと気づいて返信をやめたあとも、相手から次のような連絡が届くことがあります。
| 届きやすい連絡の例 | 対応の目安 |
|---|---|
| 「手数料を払えばすぐに出金できる」 | 支払わず、メッセージを保存する |
| 「これが最後の手続き」 | 支払わず、メッセージを保存する |
| 「このままだと口座が凍結される」「法的措置をとる」 | 慌てて返信せず、メッセージを保存する |
| 「担当者が変わった」と別のアカウントから連絡が来る | 新しいアカウントの情報も保存する |
金融庁は、出金時に高額な手数料や税金の名目で入金を求められ、入金した直後に連絡が取れなくなることもあると注意を呼びかけています。反対に、それまで連絡をくれていた担当者やサポートと急に連絡が取れなくなることもあります。その場合の確認点は、投資の担当者やサポートと連絡が取れなくなったときに確認することで整理しています。
脅すような連絡や、急がせる連絡が来ると、すぐに何かしなければと感じてしまうものです。しかし、その場で返信したり、メッセージの中のリンクを開いたりする必要はありません。届いた内容を保存し、落ち着いてから、手元の記録をもとに次の行動を考えてください。
ブロックしてもよいタイミング
ブロックは、記録を残し終えてから考えれば十分です。以下は、必要な画面や送金記録を保存し終えていることが前提です。そのうえで次のような状況であれば、ブロックを検討してもよいでしょう。
- 相手のプロフィールと、これまでのやり取りを保存し終えた。
- 相手から届くメッセージで、精神的に負担を感じている。
- 相手が、脅しや強い言葉で支払いを迫ってくる。
- 相手から、深夜や早朝も含めて何度も連絡が来る。
- 家族や知人にまで連絡すると言われた。
ブロックしたあとも、相手が別のアカウントから連絡してくることがあります。その場合も、新しいアカウントのプロフィールと届いたメッセージを保存してから対応を考えてください。
メッセージアプリによっては、ブロックや通報の操作で、やり取りの表示が変わることがあります。通報の機能を使う場合も、先に記録を残してからにしてください。操作の前に、画面を保存しておくと安心です。
ブロックの前に残しておく記録

ブロックや削除の前に、少なくとも次の6点を残しておきましょう。
- 相手のアカウント名とプロフィール。
- 知り合ってからのやり取りの画面。
- 支払いを求められたメッセージ。
- 取引サイトやアプリのURLと画面。
- 振込明細や送金履歴。
- 日付ごとの出来事のメモ。
JVCEAは、事件性が認められる場合には捜査が行われることがあり、その際には送金履歴などの証拠資料の保存が重要になると説明しています。相手に削除される前に、自分の手元に残しておくことが大切です。
保存した記録は、どれが何の画面か分かるように、日付順に並べておきましょう。ファイル名に日付を入れておくと、あとから探しやすくなります。すべてを完璧にそろえられなくても、残っているものから整理を始めることができます。
保存したやり取りの画面や送金の記録がそろっていれば、そのままお送りいただけます。




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記録を残したあとに確かめる先
記録を残したあとは、送金の方法に応じて、確かめる先を考えます。
- 銀行振込で送った場合:振込先の金融機関や警察に連絡し、振り込んだ口座の取引の停止を依頼することを検討する。
- 暗号資産で送った場合:利用した暗号資産の取引所に、送金の状況を伝える準備をする。
- クレジットカードで支払った場合:カード会社へ連絡することを検討する。
- 相手に個人情報を伝えてしまった場合:何を伝えたかを書き出しておく。
相手とのやり取りを止めたあとは、相手の言い分ではなく、自分の手元の記録をもとに状況を整理します。相手から最後に届いたメッセージの内容や日時も、忘れずに記録しておきましょう。相手の説明が途中で変わっている場合は、その変化が分かるように、古いメッセージも残しておくと役立ちます。
預金保険機構は、振り込め詐欺などの被害にあったら、すぐに最寄りの交番・警察署や振込先の金融機関に連絡・届出をし、振り込んだ口座の取引の停止を依頼するよう案内しています。JVCEAは、多くの場合、暗号資産の送金は取り消しできないとしたうえで、利用している交換業者へすぐに連絡するよう案内しています。
別の相手からの「返金できる」という連絡
詐欺の相手への連絡をやめたあとに、別の会社や専門家、公的機関を名乗る相手から「お金を取り戻せる」と連絡が来ることがあります。消費者庁は、投資系トラブルに遭った人に、被害回復を持ちかけて金銭を要求する二次被害の相談が見られると注意を呼びかけています。
この場合も、先に費用を求められたら、支払う前に、誰が、何の名目で、どこへの支払いを求めているのかを確かめてください。やり取りの画面は、同じように保存しておきましょう。これまでの相手と同じように、返信する前に記録を残すことを優先してください。返金をうたう連絡への注意点は、返金をうたう業者から連絡が来たときの注意点で整理しています。
DataProに相談できること・できないこと
DataProは、調査・分析・資金追跡を行う立場から、次の内容をお手伝いできます。
- 相手とのやり取りと、送金の経緯の整理。
- 取引サイトやアプリの表示内容の確認。
- 暗号資産で送金した場合の、送金記録をもとにした資金の移動の確認。
- 警察や弁護士へ相談するときに必要な記録の整理。
一方で、法律相談、相手への返金請求や代理交渉、捜査、相手の身元を断定することは行いません。相手と代わりにやり取りすることもありません。資金の回収や口座の凍結をお約束することもできません。確認できる範囲とできない範囲は、ご相談の最初にご説明します。
詐欺の相手への連絡についてよくある質問
詐欺の相手をブロックしていいですか。
ブロックは、記録を残し終えてからにしてください。ブロックすると、相手のプロフィールや過去のメッセージが見られなくなる場合があります。プロフィールとやり取り、送金の記録を保存したあとであれば、ブロックを検討してもよいでしょう。
詐欺の相手に返信しないほうがいいですか。
JVCEAは、暗号資産の被害に遭った人へ向けた案内の中で、相手から連絡が続く場合は返信や交渉をせず、記録を残すよう説明しています。届いたメッセージは読んで保存し、支払いや個人情報、交渉につながる返信はしないでください。
「お金を返して」と伝えてもいいですか。
返金の交渉は、新しい支払いを求める口実にされることがあります。相手とのやり取りで解決しようとせず、記録を残して、送金の方法に応じた先に状況を伝える準備をしてください。
返信しないと、相手に何かされませんか。
「口座が凍結される」「法的措置をとる」などと脅すような連絡が来ることがあります。慌てて返信せず、メッセージを保存してください。支払いを求められても応じないでください。
相手から別のアカウントで連絡が来ました。
新しいアカウントのプロフィールと届いたメッセージも保存してください。「担当者が変わった」と名乗ってくることもあります。これまでと同じように、支払いや個人情報の送付には応じないでください。
やり取りを全部削除したい気持ちがあります。
気持ちはもっともですが、削除する前に記録を残してください。記録は、相談するときに経緯を説明するための大切な材料になります。保存が終わってから、アプリの通知を切るなどして、目に入らないようにする方法もあります。
まとめ
詐欺だと気づいたときは、相手をすぐにブロックしたり、強く言い返したりする前に、記録を残すことが大切です。
- ブロックや削除の前に、プロフィール・やり取り・送金の記録を保存する。
- 記録を残し終えるまでは、返信せずにそのままにする。
- 相手を刺激する返信や、返金の交渉はしない。
- 新しい名目の支払いや、個人情報の送付には応じない。
- 別の相手からの「返金できる」という連絡にも注意する。
相手への対応に迷ったら、まずは手元の画面を保存するところから始めてください。保存が終われば、ブロックするかどうかも落ち着いて決められます。
相手とのやり取りを止めたあと、確認できる範囲を知りたい方はご相談ください。




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