
相談しようと思っても、何から話せばよいか分からない。やり取りが何か月も続いていて、どの順番で何があったのか自分でも整理できていない。詐欺被害の経緯をまとめようとして、手が止まってしまう方は少なくありません。
経緯のメモは、きれいな文章にする必要はありません。日付・相手・お金・記録の4列を並べるだけで、相談先に伝えられる形になります。
この記事では、時系列メモの作り方を、書き出す順番、思い出せない部分の扱い、お金の動きの一覧、相談前に用意しておく記録の順に整理します。
DataProは、暗号資産(仮想通貨)や投資サイトのトラブルに限らず、SNS投資詐欺やロマンス詐欺、副業詐欺など、オンライン上の詐欺被害全般のご相談を受け付けています。メモが途中の段階でも、ご相談いただけます。
時系列メモは「日付・相手・お金・記録」の4列で作る

まず、次の4つの列を用意します。紙でも、スマートフォンのメモでも構いません。
| 列 | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| 日付 | その出来事があった日(分からなければ「◯月ごろ」) | 2026年7月上旬 |
| 相手 | 誰から、どの連絡手段で | SNSで知り合ったA/LINE |
| お金 | 動いた金額と方向 | 15万円を振込 |
| 記録 | 手元にある画面や明細 | やり取りの画面・振込明細 |
1行1出来事で、短く書くのがコツです。文章にしようとすると手が止まるため、単語の並びで構いません。
たとえば「7月上旬/SNSのA/0円/プロフィール画面を保存」のように、1行にまとめます。金額が動いていない出来事も、経緯としては大切なので書いておきます。
保存した画面そのものの残し方は、詐欺の証拠の残し方|画面・メッセージ・送金記録を保存する手順にまとめています。メモは、その記録がどこにあるかを指し示す地図として使います。
書き出す順番
書き出す順番は、次のようにすると進めやすくなります。
- 最初に、いちばん記憶がはっきりしている出来事を1行書く。
- 次に、その前後で覚えていることを足していく。
- お金が動いた日は、明細を見ながら正確な日付を入れる。
- 最後に、いちばん古い接点(知り合ったきっかけ)まで戻る。
時系列は、あとから並べ替えれば十分です。思い出した順に書き足していき、最後に日付順へ並べ直してください。
やり取りの画面をさかのぼると、日付が残っています。記憶だけで書こうとせず、画面を見ながら進めると早く埋まります。
書き始めの例として、次のような並びになります。
| 日付 | 相手・連絡手段 | お金 | 手元の記録 |
|---|---|---|---|
| 7月上旬 | SNSで知り合った/SNSのDM | — | プロフィール画面 |
| 7月中旬 | 同じ相手/メッセージアプリへ移動 | — | 移動を提案されたやり取り |
| 8月3日 | 同じ相手/取引サイトの案内 | 10万円を振込 | 振込明細・サイトのURL |
| 9月1日 | 同じ相手/出金の相談 | 追加で5万円を請求 | 請求のやり取り・出金できない画面 |
思い出せない部分の埋め方
思い出せない部分は、空欄のままで構いません。
分からない項目を無理に埋めると、あとで相談先に伝える内容が実際と食い違ってしまいます。分からないことは「分からない」と書いておきましょう。
- 日付が曖昧なときは「◯月ごろ」「◯月の最初の週」と書く。
- 金額が曖昧なときは、明細で確認できるまで空欄にする。
- 相手の名前が複数あるときは、表示名をそのまま書く。
- 人から聞いた話は、聞いた内容として分けて書く。
日付や金額を思い出す手がかりは、やり取り以外にも残っています。次のような場所を順に見てみてください。
- 銀行アプリやインターネットバンキングの取引履歴。
- クレジットカードの利用明細。
- 暗号資産取引所やウォレットアプリの履歴。
- メールの受信箱(登録完了や入金の通知)。
- スマートフォンで保存した画面の日付。
空欄が多いままでも、相談は始められます。分かっている部分だけを見ながら、順番に確認していけば十分です。
メモが途中の段階でも、書けたところまでの内容から一緒に整理できます。

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お金の動きは別の一覧にする
お金の動きは、出来事のメモとは別に一覧にします。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 日付 | 振込や送金をした日 |
| 金額 | 実際に動いた金額 |
| 方法 | 振込・カード・暗号資産・電子マネーなど |
| 支払先 | 口座名義と金融機関、または送金先アドレス |
| 名目 | 相手が説明した支払いの理由 |
名目が「投資金」から「手数料」「税金」「保証金」へ変わっている場合は、その変化が分かるように並べてください。預金保険機構は、振り込め詐欺等の被害にあったら、すぐに最寄りの交番・警察署や振込先の金融機関に連絡・届出をし、振り込んだ預金口座等の取引の停止を依頼するよう案内しています。
振込での支払いがある場合の確認の順番は、詐欺の相手に振り込んでしまったときに確認することにまとめています。
相談先によって使われ方が変わる
同じメモでも、相談先によって見るところが変わります。
| 相談先 | メモで特に見られる部分 |
|---|---|
| 警察 | 経緯の全体と、相手を特定できる情報 |
| 金融機関 | 振込の日付・金額・振込先の口座 |
| 暗号資産交換業者 | 送金の日時・数量・送金先アドレス・TXID |
| 弁護士など | 契約や支払いの経緯と、手元の資料 |
日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)は、事件性が認められる場合には捜査が行われることがあり、その際には送金履歴等の証拠資料の保存が重要になるとしています。相談先ごとの違いは、詐欺被害の相談先の違いと、相談する前に確認しておくことで整理しています。
メモの形式は、紙でも画面でも構いません。相談の場で見せながら話せること、必要な部分をすぐ指せることが大切です。印刷して持参する場合は、金額と日付が読み取れる大きさにしておきましょう。
メモと一緒に用意しておく記録

メモと一緒に、次の6点を手元にそろえておきましょう。
- 相手のアカウント情報(表示名・ID・プロフィール画面)。
- やり取りの画面(お金の話が出た場面を優先)。
- 振込明細・カードの利用明細・暗号資産の送金履歴。
- 取引サイトやアプリのURLと、残高が表示されている画面。
- 出金を断られた画面や、追加請求のやり取り。
- 確認できた点と、確認できなかった点のメモ。
警察庁は、被害に遭ったらサイト情報、口座情報や振込記録等の取引情報、やり取りの内容を保存するよう案内しています。相手のアカウントは、消える前に保存しておきましょう。
保存した画面は、スマートフォンの中だけでなく、別の場所にも控えを残しておくと、端末の故障や買い替えのときにも失われにくくなります。
画面や明細がそろっていれば、そのままお送りいただけます。




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書きながら気をつけること
書きながら、次の点に気をつけてください。
- 推測と、実際に見聞きしたことを分けて書く。
- 相手の説明は、そのままの言葉で書き写す。
- 自分を責める言葉は、メモには書かなくてよい。
- シードフレーズや暗証番号は、メモにも書かない。
メモは、誰かに見せるために整える必要はありません。相談の場で、順番に話せる材料があれば十分です。書式や見た目を整えることに時間をかけるより、日付と金額を正確にすることを優先してください。
一度にすべてを書き上げようとすると、当時のやり取りを読み返すことになり、負担が大きくなります。区切りのよいところで中断し、日を分けて書き足す形でも構いません。
書き上がったメモの使い方
メモが一通り埋まったら、上から読み返して、次の3点だけ確かめてください。
- お金が動いた日に、金額と支払先が入っているか。
- 相手の呼び方が、途中で変わっていないか(同じ人物か別人かが分かるか)。
- 推測で書いた部分に、その旨が書かれているか。
この3点がそろっていれば、相談の場で経緯を順番に説明できます。足りない部分は、相談しながら埋めていけば十分です。
相談のあとに新しく分かったことが出てきたら、その日付とあわせて下に足していきます。メモを更新した日を書いておくと、いつの時点の整理なのかが後から分かります。
書いているうちに追加の請求が来たら
整理している最中に、相手から新しい請求が届くことがあります。
消費者庁は、投資系トラブルに遭った人に対し、被害回復を持ちかけて金銭を要求する相談が見られると注意を呼びかけています。先に費用を求められたら支払わず、その連絡もメモに1行足してください。
取り戻せるかどうかの考え方は、騙されたお金は取り戻せるのか、相談前に整理することで整理しています。
DataProに相談できること・できないこと
DataProは、調査・分析・資金追跡を行う立場から、次の内容をお手伝いできます。
- 経緯のメモとお金の一覧の整理。
- 相手から案内されたサイトやアプリの表示内容の確認。
- 暗号資産を送っている場合の、送金記録をもとにした資金の移動の確認。
- 警察や弁護士へ相談するときに必要な記録の整理。
一方で、法律相談、相手への返金請求や代理交渉、捜査、相手の身元を断定することは行いません。資金の回収や口座の凍結をお約束することもできません。確認できる範囲とできない範囲は、ご相談の最初にご説明します。
時系列メモについてよくある質問
時系列メモは、どこまで詳しく書けばいいですか。
1行1出来事で、日付・相手・お金・記録の4項目が分かれば十分です。文章にする必要はありません。細かい会話の内容は、保存した画面で確認できます。
日付が思い出せません。
「◯月ごろ」と書いておいて構いません。やり取りの画面をさかのぼると日付が残っていることが多いため、画面を見ながら埋めてください。分からない部分は空欄のままで問題ありません。
お金の動きは、経緯のメモにまとめて書いてもいいですか。
別の一覧にすることをおすすめします。日付・金額・方法・支払先・名目を並べると、名目が途中で変わっている場合に気づきやすくなります。
相談先によって、書き方を変える必要はありますか。
同じメモで構いません。警察は経緯の全体、金融機関は振込の情報、暗号資産交換業者は送金の情報を見ます。1つのメモから、必要な部分を伝えられます。
メモに書かないほうがよいことはありますか。
シードフレーズや暗証番号などは、メモにも書かないでください。記録として必要なのは、アドレスや取引履歴、やり取りの画面です。
整理している間に新しい請求が来ました。
支払う前に、その連絡もメモに足してください。消費者庁は、被害回復を持ちかけて金銭を要求する相談が見られると注意を呼びかけています。
まとめ
時系列メモは、きれいにまとめることが目的ではなく、相談の場で順番に話せる材料をつくるためのものです。
- 日付・相手・お金・記録の4列で、1行1出来事にする。
- 覚えている出来事から書き、あとで並べ替える。
- 分からない部分は空欄のまま残す。
- お金の動きは別の一覧にして、名目の変化が分かるようにする。
- 画面や明細は、メモと一緒に手元へそろえる。
途中まででも構いません。書けたところまでの内容と、手元に残っている画面から、一緒に整理できます。
整理した内容について、確認できる範囲を知りたい方はご相談ください。




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